和の文化が色濃く残る国。
現在は元号を閃元とし、28年間続いている。
政治は朝廷を取り入れ、街はまるで江戸のよう。
水縹、銀朱、白練、烏羽の4つの町に別れ、貴族や皇族は中心の山吹に住んでおり、それぞれ決められた区域を血筋ごとに治めている。
道は綺麗に整備され、和風な建物が多く京都を連想させる街並みが国中に存在する。
科学力は平成初期に近いが、未だ昭和くらいの古い物を使う家庭も少なくない。
外国の技術力は非常に高く、現代に近いものが数多く開発されている。
服装は基本的に和服が普通だが、最近では洋服も珍しいものでは無くなっている。その大半が外国から船で運ばれてきたもの。とにかく洋風は最先端。これは常識なので、街中で見かければどこかのお金持ちかおしゃれさんなのだと思われるだろう。
一般人は特に役職はないが職業を持ったり学業に励む者がほとんど。祭り好きな人が多い。
街の中心部、山吹には全ての宮がまとまった場所があり、そこに政治を行う集会所、麒麟堂もある。
それぞれの宮には貴族が血筋別に住んでいて、一家にひとつ家宝がある。
家宝は神社に行く際に持ち出される。
名前 | 装飾 | 家宝 | 方角 | 区域 |
清和宮 | 青 | 青龍の縦笛 | 東 | 水縹 |
蘭月宮 | 朱 | 朱雀の簪 | 南 | 銀朱 |
応鐘宮 | 白 | 白虎の扇子 | 西 | 白練 |
臘月宮 | 黒 | 玄武の杯 | 北 | 烏羽 |
王劉殿 | 金 | 黄龍の灯火 | 中央 | 山吹 |
これは警察的な役目と街と宮廷を守るチームに別れる。
町ごとに自身番、今で言う派出所のようなものがあり、与力と同心が派遣される。
各所にリーダーとして与力が1人ずつ配置され、それぞれ同心と呼ばれる部下達をまとめる。
仕事に霊力を使うことは基本的に許されておらず、代わりに武器の使用が許されている。
退治屋より歴史が長く、100年以上皇族に仕えており、年々変化もある。
変化と言うのは衣装のことで、昔は武士のような着流しだったのが、最近ではほとんどが軍服を着るようになった。今年中には全員軍服着用にするようにと決まったらしい。それに伴って集団の雰囲気も武士団のようなものが年々軍隊のようなものに変化している。
町奉行には特に霊力も必要ないため、退治屋と違い誰でも志願でき、身体能力さえあればなんとかなる。
怪退屋との仲はあまりいいものではなく、度々軽い衝突がおきている。
頭(かしら) | 町奉行の全体責任者。 |
副頭(ふくがしら) | 頭の補佐。頭が不在の場合の代わりも務める。 |
与力(よりき) | 自身番の指揮を執る。 |
同心(どうしん) | 一般職員。 |
これは街中に現れるようになった妖怪の対策部 町奉行とは別物。
仕組みは町奉行と同じく、本部は水縹、各町に1つずつ出張所があり何人かの派遣で成り立っている。
1人一種類の式を使うことを許され、霊力が強いほど強力な式を扱える。
式神を使う場合、霊力の力を使って動かすため、自身の霊力の種類によって式神の属性も変わる。
怪退屋同士なら霊力を使った模擬戦なども認められる。
怪退屋は陰陽師がルーツで、200年前の事件から陰陽師が妖怪退治に特化した組織。霊力の高い者のみが志願できる。衣装は所謂正装として平安装束の狩衣の様な服装着用を義務付けられている。個々によりアレンジはされまくっているが、ほとんどがそれなりの原型を留められている。(上半身の部分が留められていれば下半身がどれだけアレンジされようが黙認される。)と言うかそうでないと本部から警告がくる。相応の霊力が無ければ志願することすらできないため、基本有力者は元陰陽師の名家ばかり。血筋による優遇のようなものも多く、あまりいい環境とは言えない。……必ずしも嫌な人ばかりという訳では無いので、ご心配なく。
普段の仕事は、下級霊力者が祠の参拝、中級霊力者が町の見廻り、上級霊力者が町の外側の妖怪大事に向かうことが出来る。
怪退屋程の強い霊力を持つ者は自身の霊力を物体に込めて纏わせることが出来るので、霊力がない一般人にも霊力を利用した道具を提供していて、その対象には町奉行も含まれている。
陰陽頭(おんようのかみ) | 怪退屋の全体責任者。 |
陰陽助(おんようのすけ) | 陰陽頭の補佐。陰陽頭が不在の場合の代わりも務めるが、実質的な統率は ほぼこの役職が担っている。 |
陰陽允(おんようのじょう) | 出張所の指揮を執る。 |
使部(じぶ) | 一般職員。 |
自身の霊力を流し込むことで式神を動かすことが可能。式神を使う間は式神以外に霊力は使えない。つまりは、電池と機械のような関係。
式神には様々な種類があり、材質は同じでも形や用途が異なるものが多数存在する。攻撃型やサポート型や、用途によって本当に様々。伝書鳩のような役割を果たす式には、相手に届いて確認されたことを認識した瞬間燃え尽きて消えるような細かな細工が施されたものもある。霊力を流し込むと獣などの姿になる式神もあるが、霊力の消費が激しいため使える者が限られてくる。生物の形をした式神は明確な命は持たないが、使用者の霊力が強い場合のみ自我を持つような事があると言う。個人で使う式神はほとんど自作などで同じものが少ないので、式神の種類(または霊力)で個人特定は容易。
神が祀られる場所
季節の変わり目に貴族共が訪れる。
それぞれの神社に1匹ずつ四獣の装飾がされており、神が姿を見せる時にお供として現れるという。
神を迎えるための祭りもあるほどこの国ではとても重要視されている。
神々はその季節を交代で守っているとされ、歓迎の祭りは季節の変わり目に行われる。
季節の終わりには貴族が参拝に行き、感謝の儀式を行う。
名前 | 季節 | 神 | 四獣 | シンボル |
佐保神宮 | 春 | 佐保姫 | 青龍 | 桜の木 |
筒神宮 | 夏 | 筒姫 | 朱雀 | 蛍の飛ぶ湖 |
竜田神宮 | 秋 | 竜田姫 | 白虎 | 紅葉の木 |
宇津田神宮 | 冬 | 宇津田姫 | 玄武 | 椿の木 |
国を囲うようにして、全部で5つ置いてある。
これは4つの町を守る結界の役目を果たしていて、晴明が残した、人々が参拝することでその力を強めるというもの。最近では一般人の参拝が少なくなり、年々妖怪が増えている。
春が来れば桜まつり、夏が来れば蛍まつり、秋が来れば紅葉まつり、冬が来ると雪まつり、大晦日等にも祭りを開催する。
お祭りが行われる通り以外からはほとんど人がいなくなるためとても静か。妖怪にさらわれる人も当然出てくる 。
祭りの影では浮かれた妖怪共も集まるので、妖怪退治は大忙し。もちろん町奉行も、迷惑行為や人攫いや行方不明が出ないよう見張る役目で仕事が増える。
人間誰しも霊力を持っていて、能力が使えるかはそれが強いか弱いかで決まる。
それを使いこなせる人でないと怪退屋になることはできない。
近年霊力を狙った妖怪が人間を襲う事件が多発していて、霊力が弱ければ弱いほどそばにいても妖怪の存在に気づきにくく、下級妖怪に拐われやすいが栄養はない
霊力が強ければ強いほど様々な妖怪から襲われやすくなる。霊力の強い子供などが好都合らしく拐われやすい。 鍛えても霊力は才能の世界なので生まれた時点で無ければ強くなることは無い。
霊力と五行思想は密接した関係にあり、どれも五行の属性に当てはまるようになっている。
一般人が霊力を使った犯罪を犯した場合、対応は怪退屋、事後処理は町奉行となる。
自身の霊力を纏わせた武器を使う場合、固有の霊力の使用はできなくなる。
木(木行) | 木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。 |
火(火行) | 光り煇く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。 |
土(土行) | 植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。 |
金(金行) | 土中に光り煇く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収獲の季節「秋」の象徴。 |
水(水行) | 泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。 |
人類の救世主。窮地に陥った人間たちを陰陽道の力を駆使して救い、一躍有名になった。
それからは魔除けなどを国中に広めることに余生を費やした。
昔話に、人里を攻めてきた山本五郎左衛門ら妖怪たちを安倍晴明がその溢れる力で封印したという物があり、それは安倍晴明伝説として今も人々の間で語り継がれている。
(以下、山中物語より引用)
ある時、妖怪達が山本五郎左衛門を筆頭に、人間たちを攻めてきた。戦争状態となったが、対抗するすべもなく人間側が一方的に攻められる一方だった。そんな時、希望の光の如く力をつけ現れた安倍晴明によって、山本五郎左衛門はうたれ妖怪側が敗北した。妖怪に対抗する力を生み出した安倍晴明は、妖怪が二度と人間の街に踏み入れる事のできぬよう結界を作り、人々の平和を守った。
過去に人とはっきり対立する前から、人里におりては悪さをする妖怪も少なからず存在していた。
そこまでは人もたまに出る怪奇現象程度の認識でいたが、200年前の山本五郎左衛門らが引き起こした事件によって完全に対立してしまった。それからと言うもの、妖怪の中でも人に悪さはしない者、いたずらで悪さをする者、悪意を持って悪さをする者に別れ、妖怪の中でも派閥が別れている。
妖怪の中には、人間の持つ霊力を好む者も多く、人に悪さをする理由にもこれがある。妖怪が人間を喰らえば、その人間の霊力が強いほど自身の能力が強化される仕組みで、下級妖怪中級妖怪によるものが多い。